株式会社プロメード

一級建築士事務所/一般建設業
建設業許可番号:神奈川県知事許可 第056394号

株式会社プロメード

Columnコラム

一般の住居とは違う?!オフィス移転時の原状回復工事について

  • 2023.09.25
  • カテゴリ:オフィス

オフィスの移転をする際、現在のオフィスは引き払ったらそれでおしまいというわけにはいきません。
オフィスの原状回復工事という作業が必要になります。
原状回復は法律で定められた義務になっています。
きちんと理解をしていないとその範囲や、工事費用の負担などをめぐってトラブルに発展することも少なくありません。
今回は、オフィス退去時の原状回復工事の注意点やスケジュールについてご説明いたします。

オフィスの原状回復工事とは

原状回復工事とは、賃貸物件から退去する時に、入居時の状態に戻して貸主に返すことをいいます。

一般的な住居とオフィスでは、原状回復の範囲のルールが違うので注意が必要です。

今回は、オフィスの原状回復工事についてご説明いたします。

一般的な住居とオフィスの原状回復の大きな違いは、経年劣化の部分についてです。

一般的な住居の場合、普通に生活していてできる壁紙の変色などの損耗は原状回復の対象にはなりません。

しかし、オフィスの場合は経年劣化の損耗も対象となり、基本的に賃借人が全て負担をして原状回復工事をしなければなりません。

なぜならオフィスは一般の住居と違い、不特定多数の人が出入りし、損耗や劣化が入居する企業や店舗などによって大きく違いが出るため、損耗の想定がつかないからです。

そのため、原状回復のすべてを借主が負担するのが一般的です。

オフィスの原状回復工事については、法律でも下記の通り定められています。

 

【改正民法621条】(賃借人の原状回復義務)

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年の変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 

 

オフィス移転時に必要となる一般的な原状回復工事の例を挙げてみます。

 

・壁や天井、窓、床などのクリーニング

・入居後に持ち込んで設置した備品や家具の撤去

・増設したパーテーションやカーペットの撤去

・電話回線や電気、床下配線の回復・撤去

・天井ボード・壁紙の張り替え・塗り替え・補修

・照明の撤去・回復

・看板やネオンなどの撤去

・増設・造作したもの全ての撤去

 

 

一例を挙げてみました。いかがでしょうか?

まだまだ使える、キレイなものであっても原状回復義務ですべて撤去が必要になります。

また、スケルトン状態だった場合は、全てを撤去し、スケルトン状態への原状回復工事が必要になります。

他にも原状回復義務が必要な場合があるので、まずは契約書を確認しましょう!

オフィス移転・原状回復におけるスケジュールについて

一般の住宅の場合、退去日の通知は1~3か月前までに行うことが一般的です。

オフィス移転は、原状回復工事を解約日までに終了させなくてはなりません。

予定がずれるとその分の家賃が発生することもあるので注意しましょう。

一般的に100坪くらいのオフィスの原状回復工事には1ヶ月くらい要します。

入居時の工事より、原状回復の工事の方が時間がかかる場合がありますので、契約期間に合わせて逆算をし、余裕をもったスケジュールを立てる必要があります。

オフィス移転に伴うスケジュールについてご紹介します。

 

 

遅くても、移転希望の半年以降前には移転スケジュールを立て始めることが必要です。

業務の傍らに行うのは想像以上に時間と労力が掛かりますので、できれば「現オフィス(退去関連」と「新オフィス(移転関連)」の担当者を分けて進められると良いでしょう。

 

 

■オフィス移転6か月前

①現オフィスの解約予告の提出

・原状回復業者の選定

・原状回復業者へ見積依頼~発注

 

オフィス移転6カ月前には、現オフィスの解約予約、そして、原状回復の範囲の整理をしましょう。

オフィスビルは6カ月前に解約通知を出さないと解約が成立しないケースが多いため注意が必要です。

また、原状回復は契約期間内に完了しなくてはいけませんので、原状回復の必要日日数を見越して退去~新オフィスへの移転を進めなくてはいけません。

オフィスの規模によっても異なりますが、一般的には1週間~3週間程度の期間を要します。

 

 

②新オフィスの決定と契約

・新オフィスの入居時期確認

・新オフィスの選定と決定、契約

 

「①」が済んだら、新しいオフィスについて検討を進めましょう。

立地、広さ、その他の希望条件を洗い出し、インターネットや近隣不動産会社から物件情報を集めましょう。

条件を満たす物件はなかなか見つからないかもしれませんので、条件に優先順位をつけておくことをおすすめします。

 

 

このように、原状回復工事の手配と移転先決定は同時期にスタートさせ、なるべく早い時期にスケジューを組むことが大切になってきます。

 

先ほどもお伝えしたように、現オフィスの契約期間中に原状回復を終わらせなければなりません。

したがって、契約満了日まで現オフィスで業務を行うことはできません。

 

できれば、契約満了の〜 2ヶ月前には新オフィスへの引っ越しを済ませ、〜 1ヶ月前には原状回復工事着工/完了が理想的です。

オフィスの原状回復 その流れをご紹介

こちらでは、実際に原状回復工事を行う場合の流れについて簡単にご紹介したいと思います。

 

1. 原状回復義務範囲の確認

2. 原状回復を施工する業者の選定~問い合わせ

3. 現地調査

4. 見積もり

5. 工事スケジュールの確認

6. 原状回復工事 着工

7. 確認~オフィス明け渡し

 

 

この中で一番大切なのが「1. 原状回復義務範囲の確認」です。

貸主や管理会社へ、どこまで原状回復を行う必要があるか、工事内容などのすり合わせを行いましょう。

その際、工事範囲に本来入居者側が対応する必要のない共用部分が含まれていないかの確認も忘れないようにしましょう。

 

また、管理会社が原状回復の施工業者を指定している契約となっているケースも多いため、その点について事前に管理会社に確認をすることをおすすめします。

まとめ
以上、賃貸オフィスや事務所の原状回復について基本的な内容をご紹介させていただきました。 賃貸借契約書での原状回復範囲の確認、そして余裕をもった計画、この点に気を付けながらスムーズなオフィス移転を目指しましょう。

賃貸住宅のリノベーション・原状回復なら株式会社プロメード

〒214-0021
神奈川県川崎市多摩区宿河原6-46-18

TEL:044-812-2120 FAX:044-812-0602